最近のMTGは、以前とはかなり雰囲気が変わってきました。
『Final Fantasy』や『Fallout』、『Marvel』など、外部作品とのコラボ商品「Universes Beyond(UB)」が次々と登場しています。
以前は特別企画のような立ち位置でしたが、最近ではスタンダード対応セットも登場し、UBはMTGの中心的な商品シリーズのひとつになりつつあります。
一方で、「これは本当にMTGなのか?」という声があるのも事実です。
新規プレイヤーを増やしたという評価もあれば、MTGらしさが薄れていると感じるプレイヤーもいます。
なお、UBをめぐる空気感は日本と海外でかなり違う部分もあるため、この記事では主に海外コミュニティの反応や空気感をベースに整理しています。
この記事では、Universes Beyondとは何なのか、なぜここまで拡大しているのかを整理してみます。
Universes Beyond(UB)とは?
Universes Beyond(UB)は、MTG以外の作品やキャラクターとコラボしたシリーズの総称です。
『指輪物語:中つ国の伝承』や『Warhammer 40,000』、『Final Fantasy』など、他作品のキャラクターや世界観がそのままカード化されています。
通常のMTGセットが、ドミナリアやラヴニカのようなMTG独自の世界を舞台にしているのに対して、UBは「MTGの外側」にある作品を扱っているのが大きな違いです。
初期のUBは限定商品や特殊企画に近い扱いでしたが、現在では大型セット化も進み、スタンダード対応タイトルまで登場するようになりました。
ここまでUBが増えている背景には、新しいプレイヤー層を取り込みたいという狙いがあります。
もともとのMTGプレイヤーだけでなく、IP側のファンにも興味を持ってもらいやすく、話題性やコレクション需要とも相性が良かったのでしょう。
今では、UB抜きで最近のMTGを語るのは難しくなってきました。
主なUniverses Beyond作品一覧
Universes Beyondは、最初から現在のような大規模シリーズだったわけではありません。
当初は限定的なコラボ企画に近い立ち位置でしたが、現在ではMTGを代表する大型商品へと変化しています。
ここでは、代表的なUniverses Beyond作品を簡単に振り返ってみます。
The Walking Dead|2020年発売
『The Walking Dead』コラボが発表された時の空気は、今のUBとはだいぶ違いました。
当時はまだ「外部IPキャラがそのままMTGに来る」という感覚自体が珍しく、違和感を持つプレイヤーもかなり多かった印象があります。
特に荒れたのが、Secret Lair限定で新規カードを販売したことでした。
海外コミュニティ(Reddit)では、
“Mechanically unique cards in a Secret Lair is such a fundamentally terrible idea.”
(Secret Lair限定で新規カードを出すなんて根本的に最悪だ)
という反応もあり、Commander Rules Committee(RC)が「統率者戦は幅広いカードを受け入れるフォーマットである」としつつも、販売方法や入手性への懸念に触れる声明を出すほど話題になっています。
今ではUBもだいぶ一般化しましたが、The Walking Deadがひとつの転換点だったのは間違いなさそうです。
Warhammer 40,000|2022年10月発売
『Warhammer 40,000』は、UBの中でも特に評価が高かったタイトルです。
重厚な世界観や派閥色の強さが統率者戦と噛み合っていて、「UBでも意外と馴染む」という空気も少しずつ出始めていました。
海外メディアCBRでも、
“They’re by far the most popular Universes Beyond products”
(UB製品の中でも特に人気が高い)
と評価されています。
Redditでも、
“This is fantastic, it’s clear how much care and thought was put into every part of these decks.”
(デッキの隅々までかなり丁寧に作られている)
という反応があり、The Walking Deadの頃とは大きく違う受け止められ方をしていました。
指輪物語:中つ国の伝承|2023年6月発売
『指輪物語:中つ国の伝承』は、UBの流れを大きく変えたタイトルだったと思います。
原作再現やフレイバー面の評価も高く、指輪物語という世界観そのものがMTGと相性が良かった部分も大きかったのかもしれません。
実際、2023年当時には「MTG史上最大の売上セットになる見込み」とも報じられていて、UBシリーズの存在感が一気に大きくなった時期でもありました。
特に《一つの指輪》の1/1シリアル版はMTGコミュニティ外でも大きな話題になり、「UBがMTGの外側へ届いた」感覚がとても強かったセットです。
Fallout|2024年3月発売
『Fallout』コラボは、UBの中でもフレイバー面の評価が高かったタイトルです。
RADカウンターやシリーズ特有のブラックユーモアを感じさせる演出など、原作要素を細かくカードへ落とし込んでいたこともあり、「Falloutらしさがしっかり再現されている」という反応も多く見られました。
また、統率者デッキ商品として展開されたこともあり、The Walking Dead初期に見られたような強い拒否感は比較的少なく、UBそのものが少しずつ受け入れられていった時期だったようにも見えます。
Final Fantasy|2025年6月発売
『Final Fantasy』コラボは、UBの中でも特に話題になったタイトルでした。
普段MTGを遊んでいない人まで話題にしていて、「FFきっかけで久しぶりに復帰する」という声も多く見かけます。
今回はUBとして初めてスタンダードへ直接投入される大型セットということもあり、「特別コラボ」というより完全にMTG本流の商品として扱われていた印象も強くありました。
実際、カードデザインもかなり力が入っていて、召喚獣やジョブ、歴代主人公など“FFで見たかったもの”をキレイにカードに落とし込んできた印象があります。
さらに、Hasbro CEOの発言では『Final Fantasy』は『指輪物語:中つ国の伝承』を超える“MTG史上最も売れたセット”とも説明されていて、UBの存在感が完全にMTG中心級になったことを象徴するタイトルにもなりました。
The Walking Deadの頃を振り返ると、「外部IPがMTGに来ること」自体への違和感が強かった時代もありましたが、Final Fantasyでは発表時点から「どの作品がカード化されるのか」で盛り上がっていたのが印象的でした。
Marvel|2026年6月発売
『Marvel』コラボでは、『スパイダーマン』と『マーベル スーパーヒーローズ』という形で複数セット展開が行われています。
The Walking Deadの頃と比べると、UBの規模感は大きく変わりました。
当初は限定コラボに近い印象もありましたが、今ではMarvelクラスの超大型IPが複数セットにわたって展開される時代になっています。
また、MTGアリーナでは当初、スパイダーマン関連カードが『領回路の彼方』として別イラスト・別名称で実装されていたのも話題になりました。
その後、『マーベル スーパーヒーローズ』実装に合わせて紙と同じイラストで遊べるようになると発表され、このあたりの扱いも少しずつ変わってきている印象があります。
参考リンク
なぜUBは賛否が分かれるのか
UBはここ数年で一気に広がりました。
『Final Fantasy』や『Marvel』のような大型コラボも増えていて、今ではMTGの中心商品として扱われる場面も増えています。
その一方で、「好きな作品がMTGになるのは嬉しい」という声もあれば、「これは本当にMTGなのか?」と違和感を持つプレイヤーがいるのも事実です。
「MTGらしさ」が壊れるという意見
UBで特によく話題になるのが、「MTGらしさ」がどこまで残るのか、という話です。
MTGは長年、ドミナリアやラヴニカ、イニストラードのような独自世界を積み重ねながら展開されてきました。
そのため、外部IPキャラクターがそのまま登場すること自体に、違和感を持つプレイヤーも多くいます。
特に最近の『マーベル スパイダーマン』コラボでは、「地下鉄」のような現実的なモチーフまで普通にカード化されていて、ニューヨークそのもののような空気感がMTGへ入ってきたことに、違和感を持つ反応も見られました。
もちろん、昔からMTGにはコミカル寄りのカードや特殊コラボ自体は存在していました。
ただ、最近はスタンダード対応セットや大型IP展開まで進んでいることもあって、「MTG独自の世界観が薄れてきている」と感じる声は以前より増えている印象があります。
実際、海外記事では「愛されてきたゲームが、さまざまな他作品に侵食されているように感じる」という表現も使われていて、UBによる世界観の変化を不安視する空気は今でも残っています。
新規プレイヤーが増えたという評価
UBが拡大していく中で、もう一つよく語られるのが「新規プレイヤーの増加」です。
特に『Final Fantasy』のような大型IPコラボは象徴的で、普段MTGを遊んでいない層からも大きな注目を集めており、「このコラボをきっかけに復帰した」「久しぶりにカードを触ってみた」といった声も見られます。
MTGは30年以上続いているゲームということもあり、カードの種類の多さやルールの複雑さから、新規で始めるにはハードルが高いとも言われてきました。
そうした前提自体が変わったわけではありませんが、UBのようなIPコラボは“知っている作品から入れる入口”として機能しています。
実際、Wizards of the CoastもUniverses Beyondについて「新しいプレイヤー層にMagicを紹介すること」をメリットの一つとして明確に挙げており、IPを通じた導線設計が意図されていることが分かります。
こうした設計もあり、UBは単なるコラボではなく、MTGというゲームのプレイヤー層を広げる役割を持ち始めています。
スタンダードへの参入に対する反応
UBの中でも特に大きな変化として語られているのが、スタンダードへの参入です。
これまでは統率者戦やコレクション向けが中心でしたが、スタンダード対応セットの登場によって、主要フォーマットの中にもUBが入るようになりました。
その結果、スタンダードで遊ぶ以上、UBのカードを避けてプレイすることが難しい状況になっています。
対戦環境の中で外部IPのキャラクターと常に向き合うことになる点や、MTG本来の世界観との距離感に違和感を持つ声もあります。
一方で、『Final Fantasy』のセフィロスのように、好きなキャラクターをそのままスタンダードで使えることを楽しむプレイヤーもいます。
UBは単なる追加コンテンツというより、スタンダードという遊びの中心にそのまま入り込む存在になってきていて、その受け止め方はプレイヤーごとに分かれています。
MTGは外部IPを取り込みやすいゲームだった
一方で、UBがここまで広がっている背景には、MTG側の“受け皿の広さ”もあるように感じます。
MTGは30年以上続くゲームということもあり、カードメカニズムや表現の幅が非常に広く、作品ごとの要素をカードとして落とし込む余地が大きいゲームです。
実際、『Final Fantasy』の召喚獣やジョブ選択、『Fallout』のRADカウンターのように、IPごとの特徴をゲームの仕組みに自然に組み込むことができています。
一方で、MTGには遊戯王の《青眼の白龍》やポケモンカードの《ピカチュウ》のように、“単体で強烈な象徴性を持つキャラクター”が中心にあるわけではありません。
そのため、外部IPをそのまま入口にしつつ、MTG側のゲームシステムへと落とし込むという形は、もともと相性が良かった部分もあるのかもしれません。
もちろん、すべてのプレイヤーがそれを自然に受け入れているわけではありません。
ただ、少なくともUBは、「MTGだからこそここまで展開できたコラボ」という側面もかなり大きかったように思います。
参考リンク
Universes BeyondはMTGをどう変えるのか
UBがここまで広がってくると、MTGそのものがどう変わってきたのかも気になるところです。
ここでは、その変化をいくつかの観点から整理していきます。
今後もコラボは増えるのか
UBはここ数年で急速に拡大してきましたが、その流れは今後も続くと見られています。
Mark Rosewaterは自身のBlogatogにおいて、2027年の年間セット構成について「通常セット3つ、Universes Beyondセット3つになる」と明言しており、UBが特別な企画ではなく、年間リリースの中に組み込まれた存在であることが確認できます。
実際にも、『Final Fantasy』や『Marvel』といった大型IPを中心にUBセットは継続的に投入されており、その規模も年々拡大しています。
この流れを踏まえると、UBは「今後増えるかどうか」という段階ではなく、すでに年間構成の一部として定着していると言えそうです。
UBは特別な枠から、日常的な存在になりつつある
UBは当初、限定的なコラボ企画として登場しましたが、現在では『Final Fantasy』や『Marvel』のような大型IPを含め、年間リリースの中で継続的に展開される存在になっています。
スタンダード対応セットの登場もあり、統率者戦やコレクション用途だけでなく、日常的に遊ばれるフォーマットの中にも組み込まれるようになりました。
その結果、UBは「特別なコラボ」というより、MTGのラインナップの一部として自然に受け入れられる位置づけへと変わりつつあります。
一方で、すべてのコラボが同じように受け入れられているわけではなく、IPごとにプレイヤーの反応や評価の差が出ているという見方もあります。ファンタジー性の強い作品は比較的受け入れられやすい一方で、現代的な世界観を持つIPについては評価が分かれる場面も見られます。
そのため今後は、過去の反応や実績がIP選定に影響していく可能性もあり、単純に「増え続ける」というよりは、ある程度の取捨選択を伴いながら定着していく流れになるとも考えられます。
UBは量的にも質的にも、すでにMTGの一部として組み込まれた存在になりつつあると言えそうです。
MTGの遊び方そのものは変わっていない
UBの拡大によって、MTGの見え方や受け取られ方は少しずつ変わってきていますが、遊び方そのものは大きく変わっていません。
ルールやフォーマットの構造はこれまでと同じで、デッキ構築や対戦の仕組みも基本的には従来のままです。
一方で、UBではキャラクターや世界観といったIP側の要素を起点にカードを設計していくアプローチが採用されています。
Wizards of the Coastも公式記事の中で、Universes BeyondのデザインがIPベースで進められていることを説明しており、従来のMTGとは異なる設計思想が導入されていることが分かります。
その結果として、これまでのMTGにはなかったような効果や挙動を持つカードが生まれるケースも出てきています。
ただ、それによってMTG本来の基本的なデザインやゲーム性そのものが失われるわけではないとも感じています。
UBの参入による変化は確実に存在していますが、それはMTGを別のゲームに変えるというより、楽しみ方や受け取り方の幅を広げている部分の方が大きいのかもしれません。
最終的には、そうした変化をプレイヤー自身がどう楽しめるか、という話になっていくのだと思います。
参考リンク
まとめ
Universes Beyondは、もう単なるコラボ企画ではなく、現在のMTGを語る上で避けて通れない存在になっています。
The Walking Deadの頃には、「外部IPがMTGに入ってくること」自体への強い拒否感もありましたが、『Final Fantasy』のような大型セットがスタンダードへ入る現在では、UBそのものがMTGの日常的なラインナップの一部になりつつあります。
一方で、その変化を歓迎する人もいれば、従来のMTGらしさとの距離感に違和感を持つ人もいます。
特にスタンダード参入以降は、「遊ぶならUBを避けられない」という状況にもなっていて、以前よりもプレイヤーごとの温度差は大きくなっている印象があります。
ただ、それだけUBがMTGの中心に近い存在になった、という見方もできるのかもしれません。
今後もUB展開は続いていく可能性が高く、どんなIPが選ばれていくのか、どこまでMTGと融合していくのかは、これからも大きなテーマになっていきそうです。
以上、読んでいただきありがとうございました。
本記事の画像や情報は、マジック:ザ・ギャザリング公式よりファンコンテンツポリシーに沿って引用しているものも含まれています。
また本記事はWizards of the Coast公式のものではなく、完全に非公式のファン作成記事です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

コメント