マジック:ザ・ギャザリング(MTG)の統率者戦(EDH)は、100枚ものカードを使ってデッキを構築する大人気フォーマットです。
しかし、いざ自分でデッキを作ろうとすると、カードの選択肢が多すぎて何から手をつければ良いか迷ってしまいますよね。
海外の人気YouTubeチャンネル「The Command Zone」では、現代の環境に合わせた「統率者デッキ構築テンプレート」が公開されています。
このテンプレートは、初心者でもこの記事を「見ながら手元でカードを仕分けられる」ほど、具体的で実践的な内容になっています。
なお、動画内では英語の専門用語が多く使われているため、本記事では分かりやすいよう、日本語に翻訳して解説しています。
この記事で紹介する構築方法が必ずしも正解ではありませんが、見てくれた方のデッキづくりの参考になれば幸いです。
■ 本記事の見どころ
- 現代の統率者環境に完全対応した最新の構築テンプレートが分かります
- デッキを健全に動かすために欠かせない「5つの基本スロット」を解説しています
- 画内で使われている英語の構築用語を、分かりやすい日本語訳で整理しました
- 今日から手元で実践できる、理想的なマナカーブ(コスト配分)を開設しています
統率者デッキを健全に動かす「40枚の基本(野菜)スロット」
動画の中では、デッキを健全に動かすための基本カードを「野菜」と例えています。
構築のとき、ついつい派手なコンボカードや好きなカードばかりを入れて、基本カードを削ってしまいがちです。
ですが、お肉(コンボやシナジー)ばかりのデッキは、実際に遊ぶとマナが出なかったり、手札が切れたりして全く動きません。
まずは、デッキを裏から支える「5つの野菜スロット」の推奨枚数を確認しましょう。
① 土地は「38枚」が黄金律
統率者戦における土地の枚数は、プレイヤーの間でも意見が分かれるスロットです。
しかし、今回のテンプレートでは 「38枚」 の採用を強く推奨しています。
土地を削ることは、初期手札で土地が止まり、ゲームに何も参加できずに敗北するストレスに直結するからです。
確率計算に基づく、土地38枚の具体的な確率は以下の通りです。
- 初期手札(7枚)に土地が3枚以上ある確率: 54.8%
- 初期手札(7枚)に土地が2枚以上ある確率: 82.8%
38枚入れて初めて、初期手札に土地が3枚ある確率が約半分になります。
2枚キープは土地が止まるリスクが非常に高いため、安定して3枚キープをするためには38枚が最低ラインです。
また、統率者戦には「フリーマリガン(1回目の引き直し)」があります。
フリーマリガンを含めると、38枚の土地があれば 約75% の確率で土地が3枚以上ある手札に出会うことができます。
「いつもマリガンを何度も繰り返して、みんなを待たせてしまう……」という方は、土地が少なすぎるのが原因かもしれません。
💡 両面カードの扱い方は?
《朦朧への没入》のような、裏面が土地になっている「モードを持つ両面カード」は、基本的には 土地としてカウント しましょう。
「強力な呪文だから手札に抱えておきたい」と欲張らず、初期手札に土地が少なければ1ターン目にタップ状態で置く決断が大切です。
土地は毎ターン確実に置くこと自体が、最大のゲーム優位(マナアドバンテージ)につながります。
1マナの「土地サイクリング」カードは?
『指輪物語:中つ国の伝承』などで登場した、1マナで土地をサーチできる「土地サイクリング」持ちカード。
これらは、実質的に「タップ状態で戦場に出る土地(タップイン土地)」として 土地スロットにカウントしてOK です。
1マナ払って土地を探し、その土地をアンタップ状態で置けば、実質1ターン目にタップイン土地を置いたのと同じ動きになるからです。
どうしてもデッキのスロットが足りないときに、これらを使って土地枚数を「ごまかす(調整する)」のは便利なテクニックです。
構築に採用するかどうかは、以下の 2つの基準 で仕分けるのがおすすめです。
- タップイン土地を嫌うなら、入れない
テンポ(スピード)重視のデッキで、タップイン土地を極力排除したい場合は、そもそも採用しないのが正解です。 - 「土地を探す」以上の目的で採用できるなら、土地カウントで入れる
「墓地を肥やしたい」「呪文キャストの数を稼ぎたい」「クリーチャータイプをシナジーに活かしたい」など、土地サーチ以上の明確な目的があるなら、土地枠(38枚の内訳)としてカウントしてデッキに入れましょう。
いずれにせよ、土地枚数のベース(38枚)は甘えさせず、しっかりと確保しておくことが大切です!
② 手札を増やせるカードは「12枚」
ドローや追加のカードを手札に加えるカードは、 12枚 採用します。
ここで注意したいのは、単に手札を1枚入れ替えるだけの「カード選択」カードは、ドロー枚数にカウントしないという点です。
例えば《思案》は、カード1枚を使用して1枚ドローしているため、手札の総数は増えていません。
このスロットでカウントすべきなのは、使ったカードの枚数よりも、手札が最終的に増える「カードアドバンテージ」カードです。
また、例えば墓地利用デッキにおいては、自身のライブラリーを切削する行為も実質的に手札を増やしていることになります。
デッキによって「カードアドバンテージ」を得る方法は様々ですから、自分のデッキにマッチしたものを探してみてください。
推奨されるカード
《ファイレクシアの闘技場》などの毎ターン追加ドロー出来る置物、《大魔導師の名誉教授》などの継続的にドローするシステムクリーチャー、《舞台照らし》のような一時的に追放して唱えられる衝動的ドロー。
カウントしないカード
《謎への突入》などのキャントリップ呪文、《精神石》など。
※キャントリップ(Cantrip)とは、メインの効果とは別についている、カードを引く効果。またはそれを持つ呪文やカード(引用元:MTG Wiki)
ドローカードは、デッキに入っている他の「除去」や「土地」にアクセスするための万能薬です。
土地や除去を少なめに構築してしまっても、ドローカードさえ多めに入っていれば、ゲーム中に必要なカードを引き当てることができます。
デッキがうまく回らないと感じたら、まずはドローカードを12枚〜15枚まで増やしてみましょう。
③ マナ加速は「10枚~12枚」
マナ加速用のカードは、 10枚(お好みで12枚まで)採用します。
これは、自分のターン数よりも多くのマナを早く使えるようにするためのカードです。
通常、3ターン目には3マナしか使えませんが、マナ加速を挟むことで、3ターン目に4マナや5マナの呪文を唱えることができます。
推奨されるカード
《不屈の自然》などの土地サーチ、《ラノワールのエルフ》などのマナクリーチャー、《秘儀の印鑑》・各色印鑑サイクル
カウントしないカード
《暗黒の儀式》や《ジェスカの意志》などの一時的な使い捨てマナ。
使い捨てのマナ加速は「1ターンの爆発力」はありますが、永続的にマナが伸びないため、この基本10枚のカウントからは除外するのが安全です。
また、2マナのマナ加速カードは、4マナの統率者を3ターン目に出すために非常に重宝します。
④ 単体妨害は「12枚」
対戦相手の強力な呪文やパーマネントに干渉する、単体除去や打ち消し呪文は 12枚 採用します。
クリーチャー除去・置物対策
《剣を鍬に》などの代表的なクリーチャーの単体除去や、アーティファクトやエンチャントに触る《再利用の賢者》、パーマネントをライブラリーに戻せる《混沌のねじれ》など。
打ち消し呪文(カウンター)
スタック上の呪文に対処する打ち消し呪文も、1対1交換の立派な単体妨害です。
一時的な対処(バウンス・タップ・フェイズアウト)
《断絶》などの手札に戻すカードや、《冷気への屈服》などの相手のクリーチャーをタップさせて攻撃を防ぐ手段や、フェイズアウトさせるカード。
土地への干渉やピンポイントな墓地対策
相手の厄介な土地に対処する《不毛の大地》や《幽霊街》。
相手の墓地利用プランを崩す《漁る軟泥》など。
カウントから除外される(含まれない)カード
自軍を守る「保護カード」はカウントしません。
《英雄的介入》や《蛇皮のヴェール》など。
これらは自分のゲームプランを「守る」ためのカードであり、対戦相手のプランを「直接妨害する」カードではないためです。
初心者やカジュアルプレイヤーが、デッキ構築で最も削ってしまいがちなのがこのスロットです。
しかし、単体妨害が少ないと、相手が強力なコンボや脅威を出したときに何も干渉できず、ただ見ているだけでゲームが終わってしまいます。
12枚採用することで、相手がゲームを終わらせにくるターンまでに、除去を1枚以上手札に抱えている確率が 70.4% まで跳ね上がります。
お互いに除去を撃ち合い、駆け引きを楽しむことこそが、統率者戦の奥深い戦略性と楽しさを生み出します。
お守りとして、除去は12枚程度キープしておきましょう。
「除去だけで12枚は枠が足りない……」と思うかもしれませんが、対戦相手の行動を妨害できるカードなら何でもOKです。
デッキのテーマ(部族シナジーなど)に合わせた妨害カードを忍ばせることで、構築の幅がグッと広がります
⑤ 全体妨害は「6枚」
かつては「全体除去」と呼ばれていたスロットですが、現代の多様なカードに合わせて「全体妨害」へと定義が広がりました。
枚数は 6枚 採用します。
《神の怒り》のような戦場のクリーチャーをすべて破壊するカードだけでなく、以下のようなカードもこの枠に含まれます。
・全体妨害の例
- アーティファクトとエンチャントをすべて破壊する《進歩の災い》
- 相手の攻撃を抑制して自分を守る《プロパガンダ》
- 墓地利用デッキの計算をすべて狂わせる墓地一括追放カード《ボジューカの沼》
- 自分の盤面を守りつつ相手の計算を狂わせる《テフェリーの防御》
カジュアルなゲーム展開では、1人のプレイヤーが爆発的に有利になる局面がよくあります。
そうしたときに、戦場を平らにしてゲームをリセットする「リセットボタン」がデッキに6枚入っていることは、逆転を可能にするために本当に大切です。
自分の戦略を体現する「30枚のシナジー(主軸)枠」
野菜(基本スロット)を揃えたら、いよいよデッキの個性を決める「シナジーカード」を 30枚 採用します。
動画内では「プランカード」と呼ばれている部分ですが、より分かりやすくするために、その役割を3つの日本語に訳して解説します。
1. 始動・展開カード
あなたのデッキが目指すコンセプト(プラン)を、実際に戦場で実行可能にするためのカードです。
例えば「クリーチャーを生贄に捧げてアドバンテージを得る」デッキの場合、生け贄にするための「トークンを生み出すカード」や、生け贄を捧げるための「サクリ台」がこれに該当します。
これらが無ければ、デッキのコンセプト自体がスタートしません。
2. 報酬カード
デッキのコンセプトが実行されたときに、あなたに強力な見返りをもたらすカードです。
生け贄デッキであれば、クリーチャーが死亡するたびに対戦相手のライフを吸い取る《血の芸術家》や《ズーラポートの殺し屋》などが代表例です。
また、ゲームを終わらせるフィニッシャー(勝ち手段)もこの恩恵カードに含まれます。
3. 爆発カード
戦場で行われているプランの効果を、何倍にも劇的に引き上げる 「起爆剤」 のようなカードです。
「効果を2倍にする」カードだけでなく、ダメージを上乗せしたり、追加で能力をトリガーさせたりして、盤面を文字通り「爆発」させる役割を持っています。
トークン生成量を2倍にする《倍増の季節》や、死亡誘発を2回にする《テイサ・カルロフ》などがその筆頭ですね。
構築時の注意:爆発カードの罠
カードを眺めていると、効果を派手にする「爆発カード」ばかりをデッキに入れたくなります。
ですが、爆発カード自体は「始動カード(トークンを出す手段など)」が戦場に無ければ、何の効果も発揮しない「何もしないカード」になってしまいます。
手元で仕分けをする際は、爆発カードは 4〜5枚程度 の最小限に抑え、まずはプランを動かす「始動・展開カード」を多めに採用するのが、デッキをスムーズに回すコツです。
統率者(ジェネラル)の役割から逆算する
あなたの相棒となる「統率者カード」が、上の3つのうちどの役割を持っているかで、デッキの30枚の配分がガラリと変わります。
統率者が「恩恵(フィニッシャー)」の場合
例:《虎の影、百合子》(攻撃が通るたびにドレインする恩恵カード)
構築のコツ:統率者自身が最高の報酬カードなので、デッキの中身は「ブロックされない小型クリーチャー」などの 始動・展開カードに特化 させましょう。
統率者が「始動・展開(エンジン)」の場合
例:《群衆の親分、クレンコ》(毎ターン自動でトークンを生成するような統率者)
構築のコツ:統率者がトークンを供給してくれるため、デッキの中には「全体を強化するカード」や「生け贄に捧げてダメージを飛ばすカード」をいつもより多めに採用することができます。
100枚の枠に美しく収めるための「スロットの重複」
さて、ここまで紹介した推奨枚数を一度シンプルに合計してみましょう。
- 土地:38枚
- カードドロー:12枚
- マナ加速:10枚
- 単体妨害:12枚
- 全体妨害:6枚
- シナジーカード:30枚
すべてを足すと 「108枚」 になってしまい、統率者デッキの上限である100枚(統率者を含む)をオーバーしてしまいます。
ここで重要になるのが、カード役割の 「重複」 です。
現代のMTGカードはデザインが非常に優秀で、1枚で複数の役割をこなせるカードがたくさん存在します。
代表的な重複カードの例
《不敬者破り》
役割:土地 or 単体妨害(クリーチャー破壊)
《腹黒茸》
役割:マナ加速(土地を戦場に出す) or 単体妨害(置物破壊除去)
こうした「1枚で複数の野菜スロットを埋められるカード」や、「シナジーカードでありながら除去も兼ねているカード」を積極的に採用しましょう。
重複するカードを8〜10枚ほどデッキに滑り込ませることで、デッキの機能を一切落とすことなく、綺麗に100枚の枠に収めることができます。
こういったパズルを組み合わせる時間も、デッキ構築が楽しい瞬間です。
現代環境に合わせた理想のマナカーブ(コスト配分)
デッキをスムーズに回すためには、カードのコスト(マナ総量)の配分、つまり「マナカーブ」が非常に重要です。
土地と統率者を除いた 「残り61枚」 の現代的な標準マナカーブ配分は以下の通りです。
- 0マナ: 0.22枚(基本は0枚でOKです)
- 1マナ: 9枚(1マナの優秀な除去やマナクリーチャー)
- 2マナ: 18枚(現代統率者戦で最も重要な、グラフの頂点となるスロット)
- 3マナ: 14枚(デッキのキーとなるシステムカード)
- 4マナ: 10枚(強力なエンジンカード)
- 5マナ: 5枚(戦況を優位にする強力な呪文)
- 6マナ以上: 5枚(ゲームを終わらせるフィニッシャー)
現代の統率者戦は、昔に比べて格段にスピード感がアップしています。
そのため、2マナ域が最も膨らんだマナカーブが理想とされています。
5マナや6マナ以上のカードは、手札にダブつくと何も行動できなくなる原因になります。
高コストのカードは、本当にゲームを決められる強力なカードを厳選して、 合計10枚以下 に抑えるのが初心者の構築を成功させる秘訣です。
デッキ構築は自由!自分だけの楽しみ方を大切にしよう
今回ご紹介したテンプレートは、デッキを安定して動かすための「一つの目安」に過ぎません。
統率者戦の最大の魅力は、何よりも自由なデッキ構築にあります。
デッキ構築のやり方は人それぞれであり、誰かの構築方法を否定するものではありません。
カジュアルに楽しむ人、好きなイラストを集める人など、それぞれの構築方法が何より尊重されるべきです。
また、cEDH(競技志向の統率者戦)と呼ばれる競技目線では、この記事の構築方法とは大きく異なることも理解しています。
cEDHでは、0マナや1マナの極端なスピード重視のカードや、非常に尖ったマナカーブが採用されるためです。
今回のテンプレートは、一般的なカジュアル統率者戦で「まずしっかりと機能するデッキ」を目指したものです。
まずはこの基本を参考にしつつ、慣れてきたら自分だけの理想の100枚を追求してみてください。
まとめ&関連記事
今回は、初心者向けに現代の「統率者デッキ構築テンプレート」を分かりやすく解説しました。
デッキを回して「何か違うな」と感じたら、いつでも以下の黄金比率に立ち返ってみてください。
- 土地は削らずに 38枚 をキープ
- 手札を枯らさないためのドローを 12枚 入れる
- 単体妨害を 12枚 入れて、ゲームの駆け引きに参加する
- 派手な「爆発カード」を減らし、「始動・展開カード」を優先する
慣れてきたら、どんどん自分でデッキを改造し、オリジナリティ溢れる構築をしましょう。
お気に入りの統率者と一緒に、楽しい統率者ライフを!
追記:MTG公式の構築済みコマンダーデッキも買ってそのまま遊べるくらい良くできています。AmazonのMTG公式ページから確認してみてください。
本記事の画像や情報は、マジック:ザ・ギャザリング公式よりファンコンテンツポリシーに沿って引用しているものも含まれています。
また、本記事で紹介している構築内容や各種翻訳は、YouTubeチャンネル「The Command Zone」の配信動画を参考に、日本のプレイヤー向けに分かりやすく要約・紹介したものです。
本記事はWizards of the Coast公式のものではなく、完全に非公式のファン作成記事です。
最新の情報は各公式サイト、および公式配信をご確認ください。




















































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